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本のこと 本のある場所のこと

       私がお世話になった大切な本のこと 本がある場所のことを書きました。              ここに来てくれた方の今のこと 先のことが考えやすくなればとてもうれしいです。       

きみはうみ  西加奈子

 

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私はSNSに疎い。

人からすすめてもらってFacebookに登録したり

何度かそういう類のものをチャレンジしたけれど結局続かなかった。

 

以前SNSをしていなくて寂しい思いをしたことがある。

中学生の頃通っていた塾で、送迎バスが一緒だったAちゃんが

赤ちゃんを産んだらしいと友達から聞いた。

 

そのことを教えてくれた友達はFacebookで偶然知ったとのことだった。

 

私とAちゃんは同じ中学校じゃなかったし、

塾でも同じクラスじゃなかったけれどバスの中ではよく話した。

Aちゃんはとても絵が上手で、当時私がポルノグラフティのアゲハ蝶が好きだと

話したら後日ルーズリーフにちょうちょの挿絵と歌詞を書いてくれた。

 

でも塾を卒業してからは連絡をとることもなくなり

Aちゃんのこともすっかり忘れていた。

 

その頃はそんな風に考えてこともなかったけれど

今思い返すとほんとに自然と居心地の良い関係だった。

クラスメイト、職場、みたいになんのくくりもなく

初めて自分で選んで、作った友達だった気がする。

 

今までSNSをしていないことで周りのスピードについていけていなくても

気にしたことは少なかったけれど、Aちゃんにおめでとうと言えていない自分は

少し寂しいというか、だめなんじゃないかと思った。

 

そう考えていたときにこの本を西さんが出してくれた。

 

「うつくしいってなんだろう。」

帯に書かれた文字を見て、なんとなく安心した。

 

「きみはうみ」には文章がほとんどない。

ダンボールに黒一色を塗っているだけのページなのに

とても美しく見えるのは西さんが心から「生きているだけで美しい」

と思って書かれたからだと思う。

 

私はタグ付けもきちんと説明できないし、

友達におめでとうを伝えるのにも時間がかかる。

けれどそれでもそれが私で、

私以外になったことがないからわからないけれど

日々過ごしていて私でよかったな!うれしいな!って思うことも少しはある。

 

 

そして周りの人に住所を調べてもらってAちゃんに手紙を書いた。

赤ちゃんが産まれたと聞いてとてもうれしくて少し泣きそうになったこと。

昔くれた絵付きの歌詞がほんとにうれしかったのにどこかへいってしまったこと。

急にこんな手紙を書いてひかれないかと思ったけれど、

どうしてもおめでとうと言いたかったこと。

全部正直に書いてポストに入れた。

 

人にしてあげられることも少ないし、

自分の良さを聞かれても答えられないけれど

それでも自分は自分の今までとこれからを大切にしてあげようと思えた。

 

いつも本は下から取らないし、

お風呂に持って行くからくしゃくしゃだけど

この本はきれいに置いている。

 

そしてAちゃんからは後日手紙が届いた。

来月会う約束をした。